辻村深月「冷たい校舎の時は止まる 上・下」

読書感想




一言でいえば読み応えのある小説でした。

どうやらこの作品はデビュー作のようですね。デビュー作でこのクオリティはすごいなと思いました。

ある雪の日に、学校の中に8人の高校生(辻村深月、鷹野博嗣、藤本昭彦、桐野景子、清水あやめ、片瀬充、佐伯梨香、菅原)が閉じ込めらてしまう、そして鍵が掛かっていないはずなのにあかないドア。

不可解なことに学園祭で同級生が自殺した時間の553分で止まった時計。

いつしか生徒たちは仮想空間の中に閉じ込められていました。

犯人は学園祭で自殺した生徒の名前を思い出せと要求してきます。

閉じ込められた同級生の8人は、深月の友達の角田春子が受験ノイローゼで深月にあたりはじめ、深月はそれを一人で抱え込んでしまう。それに気づいた鷹野たちは深月を守ってあげたメンバーでした。

学園祭の後に彼らが撮った写真には榊先生+閉じ込められた8人しかいず、肝心の写真は不思議なことに消えてしまっていました。そして、自殺した同級生は幽霊になって、ここにいるメンバーの中にいると推理をしました。

徐々に真実を思い出していく生徒たち、しかし真実を思い出す度に一人また一人と石膏の像になっていきます。

一体犯人は誰なのか? この仮想空間から抜け出す方法はあるのか?

上巻から多くの伏線が張られており、結末にむかってそれが紐解かれていきます。ただ辻村作品の真骨頂なのかこの伏線というのもミステリーのような物理的な伏線ではなく心理トリックのような色が強いと感じます。

もちろん結果的には仮想空間から抜け出せるのですが、仮想空間を作っていたのはある人物の心の闇の部分だったのです。

上下巻でボリュームもあり、ほんとに見ごたえがありました。

そして「辻村深月」と自身の名前を登場させていることも強い作品への意欲が伝わってきます。

本日はブログを読んでいただき、ありがとうございました。

 

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Posted by クロスパール