学校給食業務14年の元サラリーマンが語る真実2




学校給食業務14年の元サラリーマンが語る真実の続きとなります。私は自治体から委託を受けることで運営する民間企業で14年間働いてきました。ここからのお話は給食業務委託を受ける民間企業で何故異物混入などの事故が起こるのかをみていきます。

 







他社を出し抜く営業所の取り合い合戦

給食委託業務というのは自治体が運営する給食調理場を民間に委託するということですが既存の場所を使う場合もありますし新たに新築する場合もあります。

少し古いデータですが平成19年の民間委託率は22.7%となっています。

引用:学校給食実施状況調査(平成19年5月1日現在)http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/kyusyoku/1244845.htm

確か私が退職する前でも40%に満たなかったと記憶してます。飽和状態になるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。ただ昔と違って民間委託というのはかなりのスピードで進んでいて毎年多くの案件が出ています。

給食会社も我こそはという感じで委託業務を勝ち取ろうとしてます。さてこの委託業務というのはどうやって決まるのかというと入札とプロポーザルで決まります。入札とは説明するまでもなくお金ですね。自治体側からすれば低ければ低いほどうれしいということになります。プロポーザルというのは当社はこのような運営方針でやっていきますという説明をすることです。

私も何度か参加したことがありますが給食業務を知らないお偉いさんが聞いてもよくわからないと感じます。でも実際判断するのはその方々なので結果的にですが入札金額で決まることがほとんどなわけです。

一昔前は各社によってプロポーザルの内容は大きく差がありましたが現在ほとんど差がなくなってきているのでお金で決まるのは致し方がないと思います。

このようにして毎年数多くの民間委託給食が誕生してきます。

 

委託業務は売り上げを伸ばすことができない

通常のビジネスですとコスト削減と売り上げアップにより利益を生み出していきますが給食の委託業務では売り上げを伸ばすことはできないのです。なぜなら委託金というのが契約時に決定していますので増えることは100%ありません。

そうすると利益を上げるためにはコスト削減しか残らないわけです。コストと言っても80%が人件費、備品やその他もろもろが各10%ぐらいなのでほとんど人件費となります。設備投資にお金がいるんじゃないかと思われるかもしれませんが基本的に設備は自治体持ちとなりますので不要となります。

民間委託給食会社の求人をみたことはあるでしょうか?地域によっても大きく違うのですが概ね16~25万となっているものをよく見かけます。ただ25万というのはほとんんど書いているだけであって実際は16~20万程度です。

土日祝とカレンダー通りに休みなわけですから妥当な金額かもしれませんが家族4人でこの1馬力じゃかなり厳しいです。私が在職中は結婚するので辞めますと言う人を何人かみてきました。ちなみにボーナスなしの委託会社もありますし、夏休みは給料なし、ボーナスはあっても4~5万ということもあります。

年数とともに多少は上昇してきますが過度な期待は禁物です。

このようにして徹底的に人件費を削減して利益を出していくことになります。

 

コスト削減により必然的に人材不足の悪循環

先ほどコスト削減は人件費を削ることだと言いましたがその結果人材が定着しないことが多いです。おそらく地元の求人を探してみれば給食関係が必ず出ていることだと思います。個人的なことですがこのような状態にあることが今後数十年は続くだろうと見ているので私自身は就職に困ることはないと考えています。

コスト削減と営業所が爆発的に増えていることによりさらに人材不足に拍車がかかります。要は人材がいないのに営業所だけがどんどん増えていくことになるからです。どこの業界も同じようなものかもしれませんが数名の経験豊富な社員が数十人を指導していくことになります

しかし経験豊富な社員も無限にいるわけではありません。営業所は毎年のように増えていくわけですからどんどん転勤を繰り返していきます。私は1~2年での転勤が多かったですが誰かが教えていかないと給食を出すことができないからです。

その結果、十分に知識がない社員が数十人に指導していくことになりますからどんどん質は劣化していきます。ヒヤリハットといわれるような事例やトラブル時の対応などが満足にできないわけです。

営業所ごとに責任者となる人がいますが、責任者が十分な知識もなく、指導力もない場合はその部下はほとんど成長できないことになってしまいます。

結局、営業所は増えるけど、人材が定着せずに質が落ちるという悪循環になります。

 

自治体からの無茶な要求

私は3000~6000食程度の責任者としてずっとやってきましたが時には自治体からの無茶な要求があります。例を出しますとハンバーグの手作り、コロッケの手作り、かき揚げの手作り、パンを焼くなどです。

経験として1000食程度なら手作りのものはいくらでも作れるんですよ。しかし3000~6000食になると手作りとか言ってられないのです。そもそも前日に作っておけるわけではなく当日調理になりますから時間がまったくありません。

委託業務なのでむげに断ることができない理由を考慮すると早く出勤するしか対策がないわけですね。私も夜中の3時に出勤していたこともあります。もちろんサービス残業です。そもそも朝早くこれる従業員が何人いるでしょうか?

これは自治体側からすれば委託に選んでやったんだからこれぐらいはやってくれよというのと、実際に調理をしたことがない人が献立をたてるので時間がどれぐらいかかるかわからないんだと思います。あとは自分はやらないからいいかみたいな感じでしょう。

このように物理的に無理だと思われる要求もしてきます。それにはっきりとNOと言えない委託業者という立場を考えるとある程度は受けざるをえません。

ただ担当者によっては親身になって考えてくれる人もいるので、こればっかりは運というほかにはないでしょう。

 

給食で異物混入が起こる原因は無理な作業と人材不足

もう当たり前の話になってしまうのですが無理な作業をしているとかならずミスが発生します。給食の場合はそれが異物混入につながるということです。また熟練した従業員が作業を行うと同じ作業でもポイントを見極めてミスは少なくなりますが、人材不足の中ではそういうわけにはいきません。

給食で事故を起こさない為には、人材安定により熟練した従業員を数多く養成する必要があります。その為には営業所増加の適正化と給与水準の上昇が必要不可欠なのです。

コメント

  1. たんちん より:

    低価格で低サービスはしかたないですねえ。中サービスにしたければ金出せということですわ。あらゆるサービスにいえることです、欧米企業に税金など門戸を開き、国際基準に徐々に変えないともたんでしょう。LCC,MVNOなど