飲食業界の失われた30年




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私が飲食業界で働き出したのは30年前になります。8月まで同業界でアルバイトをしていましたが30年前と構造がまったく変わっていないことに驚きます。

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現在の飲食業界の構造が変わることは今後ないのではないだろうかとさえ感じます。離職率が高い業界ですが何故誰も手を打たないのか不思議でなりません。

しかし次から次へと人材は補充されるわけですから誰しも構造改革という面倒なことはしたくないのかもしれませんね。




マニュアルがなくフィーリング作業が多い

大手チェーン店などはある程度のマニュアルがあると思いますがそうでない飲食店ではマニュアルというのはほとんど存在せずにフィーリングで仕事をしている場合が多いです。

毎日まったく同じ作業ということではありませんが基本的なことは毎日同じことを繰り返す作業があります。その部分だけでもマニュアル化しておけば新規で入社してくる従業員は仕事を覚えることができますし、既存の従業員もいちから教える負担も軽減されるでしょう。

私のアルバイト先でもそうなんですけど新規従業員が入社してくるたびに口頭で教えるんですがその教え方、やることは人それぞれです。

人によって違うというのは当たり前ですが同じ結果でも手順が違うってことがありますよね。そのあたりが教える人のフィーリングでなされるので何が本当にやっていいことなのが判断が難しいんですよね。

また同じ人でも時によって違う方法を言ってきたりしますから一体いくつのパターンを覚えないといけないの?となってしまいます。

ベテラン従業員は臨機応変といいますが、そうであるなら新規従業員がやることも臨機応変でやっていることになるはずですがそうはなりません。

フィーリング作業の困ることは仕事が覚えにくいということもありますが、人によってやり方を変えないといけないことなんですよね。

人によってやり方を変えるということは仕事において必要なことだと考えていますが毎日同じ作業はマニュアル化した方が既存、新規従業員ともにメリットがあると考えています。

何故か間違ってしまってから教える

上記の記事でも少しふれていますが何故か仕事を教えないという謎のスタイルが飲食業界には横行しています。初めてする仕事だからわからないことだらけのはずですが、それにもかかわらず中途半端な教え方しかしません。

その結果教えた人のイメージと違うことになると何故か怒りながら教えてくるんですよね。よくわからないことがあったら聞いてくださいっていうのを見聞きするんですが「わからないことがわからない」という状況をわからないんだろうか?と私なんか不思議に思うんですけどね。

こんなことが繰り返されたら長く続けて働きたいって思わないのも当然だと思いますが、「あいつは根性が足りなかった」という訳の分からない精神論で納得しているようです。

私が在籍したのは1年3ヶ月ですが4人辞めてるっていうのは多すぎだと感じます。その理由がこういうことにあるって上層部はわかってるのに是正しないのはそういう指導する人間に辞めてもらったら困るからみたいですが、次々に辞めるのを防いだ方が会社の利益にも貢献すると思いますよ。

私も現場のリーダーとして40~50人の指導を正社員時代にはやっていましたがどんな状況で仕事が辞めたいかを分析した結果、後年はほとんど辞める人がいない状態を作ることができたのでやる気次第だと思うんですよね。

仕事を辞めたくなる状況って仕事場がつまらないからです。仕事場が楽しければ辞めたいとは思わないはずです。

事前にわかっているのに直前に対応して結局対応できない

飲食店では盆と年末年始というのはかきいれどきで売り上げが伸びる時期なんですけど、当然そのような状況になると人手も必要になります。短期アルバイト募集や他営業所、他部署からの応援で対応している所が多いです。

また短期アルバイトでは募集してもほぼ来ません。例え来たとしてもいきなり調理ができるか、盛り付けができるか、メニューが覚えられるかという問題があり飲食店の場合は皿洗いや後片付け、掃除などがメインの作業にならざるを得ません。

だからかきいれどきの時間帯にはほぼ役に立つことはないんです。同様に他営業所、他部署からの応援もほとんど役に立つとは言い難い状況となります。

これを解決するには通常時から人員を確保しておくことですが人件費削減のコストカットのもとにぎりぎりの状態で行っている飲食店が多いことでしょう。

飲食店の従業員で有休を全消化している人はいないんじゃないでしょうか。

有り余るぐらいの余剰人員を雇用する必要はありませんが常に100%状態だとイレギュラーやかきいれどきには対応できません。

しかし営業中止ということになるかというとなりませんよね。どうやって営業しているかというと既存の従業員が残業に残業して何とかやりくりすることになります。

運動量が多いことが最も重要視される

オフィス系の仕事をしている人からすれば信じられないかもしれませんが、いわゆる頭脳労働という仕事は飲食店ではカウントされません。

あくせく体を動かすことが働くこと、仕事をすることであるという認識だからです。しかし頭脳労働と呼ばれる仕事がゼロの訳はありませんよね。勤怠管理や売り上げ管理、在庫管理、発注管理等様々なことがあります。

やったことがある人はわかると思いますが案外これらは時間がかかるんですよ。しかしこれは仕事とはみなされない風潮が職場内にあるので結果的に残業か休日に行うことになります。

一番の原因は人手不足なんですがこういった風潮も30年前とまったく変わらないなあと感じてしまいます。

全体的なパフォーマンスを上げようとしない

小さな飲食店だと固定の作業をすることが多くなり、Aの作業は特定の人しかできないという場面に遭遇します。チェーン店ではさすがにこの辺は改善傾向があるようです。

以前、倉式珈琲に面接に行ったときに調理・接客・レジをローテーションでやってもらうと言われたことがあります。そりゃそうですよね、特定のことだけしかできないのであればその人に何かあったときは立ち行かなくなります。

スペシャリストといえば聞こえはいいのですが特定のことしかできない人がいる職場というのは極端に全体のパフォーマンスが落ちます。365日営業の飲食店ではシフトを組むのにも一苦労するでしょう。

カリスマ料亭の料理を作るわけではないのでそこそこのクオリティーの商品ができればいいわけですから一般的な飲食店にスペシャリストはいらないんですよね。

バランスが良いチーム作りを心掛けなければ従業員はずっとしんどい職場環境のままだと考えています。

食中毒よく起きないなあ

飲食店の食中毒のニュースはたまに見かけますが、それほど多くないと感じます。飲食店で働いたことがある人はわかると思いますが、よく食中毒起きないなあと感じませんか?

飲食店で働いている人はほぼ衛生知識に乏しいです。知識がないから食中毒が起こりそうなことでも平気でやることができます。そういう内部の視点からみるとよく食中毒起きないなあと感じるのです。

だから食中毒が起こるってよっぽどずさんな作業をしているか、たまたま食べた人の調子が悪かったのどちらかだと思いますね。

飲食店や弁当屋、惣菜のものを食べるときは食中毒のリスクと紙一重ということを考えておいた方がいいでしょうね。

売り上げ至上主義は資本家のみでいいでしょう

飲食店あるあるとして「今日もたくさん仕事をしてボロボロに疲れたけど、売り上げが良かったから満足だわあ」という人が一定数います。

前アルバイト先にも一人いるんですが、もうそういう人が一人いるだけで意識の差がすごく開いてアンバランスな職場になります。

どういうことかと言うとその人がいるときには程々にがんばるけど、居ないときはダラダラ仕事をするっていう感じになりがちです。でもね、ダラダラ仕事をしても何の問題もなく終わるんですよ。

「お客様の為に頑張らないといけない」という思想はある意味正論なんですけど行き過ぎると従業員の負荷がかかり過ぎます。その状態が長く続くと洗脳された感じでもう訳が分からなくなっちゃうんだと思いますよ。

お客様の為に頑張ることは必要だけどまずは自分の為に頑張らないとね。

しゃかりきに自分の満足感だけで仕事をする人はリーダーシップと勘違いしてるんじゃないだろうかと思います。そういう人は間違いなく他の従業員のモチベーションを下げていますからね。

それに売り上げが良かったから従業員の待遇が変わるってものでもありません。最低限の売り上げは確保しなければ働く場所がなくなってしまいますが、そこそこの売り上げがあればあとは雇用労働者にとっては同じです。

この辺は若い世代は敏感になっているようでまったく売り上げに貢献するという意識はないようですね。

しゃかりき従業員のたいがいは長く同じ場所にいる人なんですよね。そういう人はもう他の場所では働けないんだと思う。変化をするとかしないとか以前に変わるという気持ちがまったくなく過去の栄光にすがりっぱなしですね。

30年間失われなかったもの

失われた30年を取り戻すことは簡単で労働者の待遇改善をすればいいだけです。給料アップと有休全消化をするだけで一気に改善すると考えています。

しかしこれが現実となることはほとんどないと感じています。

慢性的な人手不足なのでどう考えてもやりくりしようがありません。

他方30年間失われなかったものもあります。

それはいつでも働く場所があるということですね。

コメント

  1. 123 より:

    飲食業界に限らず、他も似たり寄ったりです。
    無際限な売上・利益額の拡大策(願望)が原因かと感じます。
    (労働効率・相互利益を考慮していない)
    但し、無際限な拡大策の結果、労働者としての収入確保方法は多様化しています。
    今後は労働者が必要な収入の確保先として複数の労働・企業を取捨選別する時代になるのでは無いでしょうか?

    • 123さん
      他業界も似たり寄ったりですか。
      今更方向転換はできないでしょうから、労働者を使い切るまでは現在の状態は続いていくでしょうね。
      おっしゃる通りこれからは労働者が企業を選ぶ時代がくるのかもしれません。

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