現金をある程度保有しておくことは安心感にもつながりますが過剰に保有してしまうと資産を増やすのに効率が悪くなると考えています。
資産を増やすのに株式投資をしていますが無リスク資産(現金)とリスク資産(株式)の割合をどうするのかセミリタイア後はずっと気になっていました。
安定したキャッシュフローが見込めるサラリーマンであるならば私的にはフルインベストメントでも問題ないと考えていますがセミリタイア後はアルバイトはするにしても生活費をまかなえるようなキャッシュフローは見込めません。
幸いにして私の場合は妻が働いてくれているので夫婦二人で何とか生活費をまかなえている感じになっています。
さてセミリタイア後の現金をどうしようかと考えた時に比率で管理するよりも金額で管理した方が自分の中でしっくりすると感じました。
2021年1月から現金は金額で管理するように変更しました。結論を書いておくと現金1000万以上を保有しておきたいと考えています。
相場変動や生活環境の変化もありますから常に1000万以上を保有しておくということではなく目安としての金額です。
何故1000万以上と決めたのかその理由を書いてみたいと思います。
4%ルール取り崩しの資産寿命を延ばす為
セミリタイア後にもっとも気を付けないといけないのは資産の減少速度です。私はインデックス投資の4%ルールでの取り崩しを考えているので多少の減少は想定していますが大幅に減少して資産寿命が短くなるのが一番困ります。
4%ルールについては多くの方がブログ記事やYouTubeに投稿しているのでそちらを見て欲しいのですがもう少し踏み込んでどうやったら4%ルールをより安全に運用していけるかというものもあります。
私自身もこちらの記事で考察しています。
4%ルールの資産寿命を延ばすためにはいろいろと対策があるのですが、ネットで調べていくととても興味深いものがありました。それは30年間の平均リターンが同じでも取り崩し初期(5年程度)にマイナスリターンが続くと資産減少は大きくなるというものです。
年間取り崩し額 | 年リターン | 資産A | 年リターン | 資産B |
1,200,000 | – | 30,000,000 | – | 30,000,000 |
1年目 | 15.00% | 33,300,000 | -10.00% | 25,800,000 |
2年目 | 20.00% | 38,760,000 | -10.00% | 22,020,000 |
3年目 | 15.00% | 43,374,000 | -10.00% | 18,618,000 |
4年目 | 20.00% | 50,848,800 | -10.00% | 15,556,200 |
5年目 | 15.00% | 57,276,120 | -10.00% | 12,800,580 |
6年目 | 4.00% | 58,367,165 | 4.00% | 12,112,603 |
7年目 | 4.00% | 59,501,851 | 4.00% | 11,397,107 |
8年目 | 4.00% | 60,681,925 | 4.00% | 10,652,992 |
9年目 | 4.00% | 61,909,202 | 4.00% | 9,879,111 |
10年目 | 4.00% | 63,185,571 | 4.00% | 9,074,276 |
11年目 | 4.00% | 64,512,993 | 4.00% | 8,237,247 |
12年目 | 4.00% | 65,893,513 | 4.00% | 7,366,737 |
13年目 | 4.00% | 67,329,254 | 4.00% | 6,461,406 |
14年目 | 4.00% | 68,822,424 | 4.00% | 5,519,862 |
15年目 | 4.00% | 70,375,321 | 4.00% | 4,540,657 |
16年目 | 4.00% | 71,990,334 | 4.00% | 3,522,283 |
17年目 | 4.00% | 73,669,947 | 4.00% | 2,463,174 |
18年目 | 4.00% | 75,416,745 | 4.00% | 1,361,701 |
19年目 | 4.00% | 77,233,415 | 4.00% | 216,169 |
20年目 | 4.00% | 79,122,751 | 4.00% | -975,184 |
21年目 | 4.00% | 81,087,661 | 4.00% | -2,214,191 |
22年目 | 4.00% | 83,131,168 | 4.00% | -3,502,759 |
23年目 | 4.00% | 85,256,414 | 4.00% | -4,842,869 |
24年目 | 4.00% | 87,466,671 | 4.00% | -6,236,584 |
25年目 | 4.00% | 89,765,338 | 4.00% | -7,686,047 |
26年目 | -10.00% | 79,588,804 | 15.00% | -10,038,954 |
27年目 | -10.00% | 70,429,924 | 20.00% | -13,246,745 |
28年目 | -10.00% | 62,186,931 | 15.00% | -16,433,757 |
29年目 | -10.00% | 54,768,238 | 20.00% | -20,920,508 |
30年目 | -10.00% | 48,091,414 | 15.00% | -25,258,585 |
– | 3.83% | – | 3.83% | – |
上記の表は運用額3000万を毎年120万(4%)取り崩した場合のシミュレーションです。どちらも30年間の平均リターンは3.83%となりますが資産寿命は大きく違いますよね。
これはプラスリターンが先に来れば資産寿命が延びる、逆の場合は大幅に短くなるということを示しています。

わかりやすいようにグラフにしてみました。初期5年のリターンが良い資産Aでは30年後も資産はプラスになっていますが、初期5年のリターンが悪い資産Bでは20年目にマイナスになっています。
30年間の平均リターンが同じでもこれだけ資産寿命に差がつくということです。
当たり前ですが運用リターンがマイナスのときには運用資産から取り崩さない方が資産寿命が延びるということですね。
今回の想定ではマイナスリターンを5年としていますがもっと長期間に及ぶかもしれません。しかしすべてのリスクヘッジをできるわけがないので私的には5年程度を考えておいてあとはどんな状況であれ取り崩しや労働で対応していく考えでいます。
運用資産を5年間取り崩さないとすれば年間生活費5年分の現金が必要になります。私の場合は240万×5年=1200万となります。
SRR(シークエンス・オブ・リターン・リスク)については再度こちらの記事で詳細をまとめていますのでご覧ください。
セミリタイア後の無リスク資産(現金)は1000万
資産寿命を延ばす為にある程度の無リスク資産(現金)を保有するということですが5年間の生活費が妥当だと先ほど書きました。
年間生活費240万×5年=1200万となり本来なら1200万となるところですが足りない200万は5年間(40万×5年)で労働で稼げるのではないかと考えています。
このような考えで無リスク資産(現金)は1000万で十分という結論に至りました。いつまで労働できるかという問題もありますが私の場合は年金受給の65歳まであと15年となります。
つまり50~64歳の15年間、年40万を労働で稼げばよいことになります。この想定はそれほど難しくないかなと感じています。
シミュレーションではこのような感じですが働くことは好きなので週3日ぐらいでのらりくらりとずっと働いているかもしれません。
15年目にして資産運用方針は固まりました
私は2005年から資産運用を本格的に始めましたが初期はいろいろと迷いながら多くのことに手を出しました。大きな損失を出したこともありますが何とか生き残ってここまでこれました。
正直、本当にラッキーだなと感じています。
15年目にしてやっと資産運用の方針が固まってきたと思います。唯一の悩みどころであった無リスク資産(現金)についても今回の記事を持ちまして解決することができました。
投資の成績というのは区切る期間で見え方が大きく違いますよね。上記の4%取崩し表の年リターンにしても一定の期間を決めておかなければ基準がわからなくなります。
言い換えるならリバランスする時期はいつかということになります。私の場合は家計簿を1~12月を1年間としていますのでリバランス時期は毎年12月としたいと思います。
毎年12月ぐらいになったら無リスク資産(現金)を確認して1000万に達していない場合はリスク資産を売却して調整するということにします。
数日後・・・
この件をその後もずっと考えていたのですが1年に1回リバランスするというのはちょっと期間が長すぎると感じました。現金が大幅に減少していてその時株式も暴落していれば株式を売却するのは好ましくありません。
この点については4%ルールを安全に運用していくために再考していきます。後日この点もまとめて記事にしたいと思います。
コメント
平均リターンが全く一緒でも、相場の冬の時代がいつ来るかによって、トータルリターンに大きく差がつく結果は、非常に興味深い考察ですね。
リタイアーは特にフルインベストメントには注意すべきという客観的な数字と受け取りました。
因みに、自分の現在の無リスク資産は丁度、我が家の年間生活費の5年分でした。
クロスパールさんの手法をパクッた訳ではありませんが、6年間リタイア生活を送ってみて、肌感覚として、この辺が居心地が良いアセットアロケーションなのかもしれません。
山中一人さん
相場は波がありますから、うまく乗りこなしていきたいですよね。
無リスク資産はずっと迷っていたんですが、何となくこの塩梅がいいかなあと感じますね。
怖いのは少額でセミリタイアした場合に労働負担が大きくなることなので、そういう人は注意かなと思います。
今回の記事も素晴らしい考察ですね!
リスク資産と無リスク資産の割合はボクも悩んでいたところです。
ボクの場合は今のところ無リスク資産が多いので、もう少し投資を続けてから考えようと思っていました。
とても参考になりました(*’▽’*)
八百祢さん
褒めていただきありがとうございます(^^)/
資産規模や労働等の収入にもよりますが5年分というのは安心感があるのでいいかなと思います。
私は、資金をすべて投資に回していたときにリーマンショックで資産が減り、もとの金額に戻るのに4年かかりました。
余裕資金はなかったので、いつ回復するのか冷や汗ものでした。
100年に一度のリーマンショックでも4年で回復したので、5年分の無リスク資産を持つことは理に叶っていると思います。
無リスク資産をどれくらいの割合で持てばいいのか、自分は答えは出ていません。
なので、今回のクロスパールさんの考察は、大変参考になりました。
見知らぬ男さん
無リスク資産の比率ですが多ければ多いほど良いというもんでもないと思うんですよね。
その配分が難しいわけなんですが、私はこういった結論に達しましたが見知らぬ男さんも自分にあった割合を見つけられるといいですね。