巷では5000万でセミリタイアできるとか3000万でもできるとか、いや1億ないと無理だよという声がありますがこういうのは全く当てにならないと思います。
資産額だけを見てもどのぐらい支出があるかによって必要な資産は違ってくるからですね。つまり支出=生活費をもとに必要なセミリタイア資産を求めなければならないと考えています。
セミリタイア資産は多ければ多いほど良いわけですが最低限どのぐらいあればセミリタイアしてもいいのだろう?と考えるのがセミリタイアしたい人の知りたい所なんじゃないかと思います。
私はセミリタイアして3年と6ヶ月が経ちましたが実体験としてこれぐらいが最低限のセミリタイア資産じゃないかというのを書いてみますね。
何故こういった記事を書こうかと思ったのかというとツイッターでセミリタイアをしたいばかりに生活費を削りまくってセミリタイアするプランを立てる方が多くなった印象があったからです。
日本ではセミリタイアはまだまだマイナーな生き方ですから語弊を恐れずに言えば片道切符の生き方になります。その辺を考えると経済的な失敗は許されないとも言えます。
なおこの記事で言いたいのは経済面で失敗しないということだけです。仕事がつらくて資産が少なくてもセミリタイアしたいというような精神面は考慮していません。
そしてセミリタイア(サイド・バリスタFIRE)というものに関しても特に定義しませんが私が考えるのは資産と最小労働で時間を有意義に使うということを意図しています。
それでは本題に入っていきます。
セミリタイア資産の構成
運用資産
運用資産とはその名称の通り、利回りが期待できる資産のことです。簡単に言うと投資になりますかね。投資をせずにセミリタイアすることも可能ですがその資金も多くなるので私は投資をしたセミリタイアが良いと考えています。
投資対象はインデックス投資を推奨します。インデックス投資と言ってもいろいろとありますが先進国株式・全世界株式・S&P500のどれかでいいと思います。
ちなみに私は先進国株式に投資しています。
インデックス投資以外はダメなのか?というとそうでもありません。しかしトータルリターンが4%以上過去データがあるものが良いと考えています。

こちらはMSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円)の過去リターンですが30年平均リターンが8.7%となっていますね。
過去データがそのまま将来にも反映されるとは限りませんが一応の参考になるかと思います。
私はインデックス投資を推奨しますがその他の投資で4%以上のリターンが見込めると考えるものがあればそちらで問題ないと思います。
無リスク資産
貯金です。
人的資本
運用資産以外からの収入です。
運用資産以外からの収入なら何でもいいですが多くの人が該当するであろう労働収入(アルバイト)を想定しています。
最低限必要なセミリタイア資産
運用資産:年間支出の15倍
無リスク資産:年間支出の5倍
労働収入:年間支出の40%
私が考える最低限必要なセミリタイア資産は上記となります。これぐらいの資産があれば経済的にそうそう困らないであろうと考えています。
これは私が実体験として感じた経験則に基づいていますがそうそう的外れでもないと感じているんですよね。
この考え方の良いところは年間生活費がわかればどんな人でもセミリタイア資産を求めることができることです。
しかし今後何十年も続く生活の年間生活費を求めることなんてできないという意見があると思いますがそこはライフプランを作成して自分なりの答えを見つけていくしかありません。
また労働収入を年間生活費の40%としていますがここを上げることでも微調整は可能です。ちなみに私は労働収入≒年間生活費を目指しています。これだとセミリタイアと言えないじゃないかという声もありますが時間を有意義に使えていれば問題ないと思うんですよね。
だからここではセミリタイア定義を決めずに経済面だけにふれています。
それでは実際に数字を当てはめていきますね。
年間生活費240万でシミュレーション
年間生活費240万というと月20万になりますから多くの方が生活できる水準だと考えているからです。ここからは比率計算になりますから年間生活費が変わってもシミュレーションは同じになります。
整理するとこのようになります。
運用資産:年間支出の15倍(3600万)・年4%運用
無リスク資産:年間支出の5倍(1200万)
労働収入:年間支出の40%(96万)
労働期間を5年・10年・15年・20年としてシミュレーションしてみました。
労働期間→ | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 |
1年 | 3,600 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
2年 | 3,600 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
3年 | 3,600 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
4年 | 3,600 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
5年 | 3,600 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
6年 | 3,504 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
7年 | 3,404 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
8年 | 3,300 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
9年 | 3,192 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
10年 | 3,080 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
11年 | 2,963 | 3,504 | 3,600 | 3,600 |
12年 | 2,842 | 3,404 | 3,600 | 3,600 |
13年 | 2,715 | 3,300 | 3,600 | 3,600 |
14年 | 2,584 | 3,192 | 3,600 | 3,600 |
15年 | 2,447 | 3,080 | 3,600 | 3,600 |
16年 | 2,305 | 2,963 | 3,504 | 3,600 |
17年 | 2,158 | 2,842 | 3,404 | 3,600 |
18年 | 2,004 | 2,715 | 3,300 | 3,600 |
19年 | 1,844 | 2,584 | 3,192 | 3,600 |
20年 | 1,678 | 2,447 | 3,080 | 3,600 |
21年 | 1,505 | 2,305 | 2,963 | 3,504 |
22年 | 1,325 | 2,158 | 2,842 | 3,404 |
23年 | 1,138 | 2,004 | 2,715 | 3,300 |
24年 | 944 | 1,844 | 2,584 | 3,192 |
25年 | 741 | 1,678 | 2,447 | 3,080 |
26年 | 531 | 1,505 | 2,305 | 2,963 |
27年 | 312 | 1,325 | 2,158 | 2,842 |
28年 | 85 | 1,138 | 2,004 | 2,715 |
29年 | -152 | 944 | 1,844 | 2,584 |
30年 | -398 | 741 | 1,678 | 2,447 |
31年 | -654 | 531 | 1,505 | 2,305 |
32年 | -920 | 312 | 1,325 | 2,158 |
33年 | -1,197 | 85 | 1,138 | 2,004 |
34年 | -1,485 | -152 | 944 | 1,844 |
35年 | -1,784 | -398 | 741 | 1,678 |
36年 | -2,096 | -654 | 531 | 1,505 |
37年 | -2,419 | -920 | 312 | 1,325 |
38年 | -2,756 | -1,197 | 85 | 1,138 |
39年 | -3,106 | -1,485 | -152 | 944 |
40年 | -3,471 | -1,784 | -398 | 741 |
41年 | -3,849 | -2,096 | -654 | 531 |
42年 | -4,243 | -2,419 | -920 | 312 |
43年 | -4,653 | -2,756 | -1,197 | 85 |
44年 | -5,079 | -3,106 | -1,485 | -152 |
45年 | -5,522 | -3,471 | -1,784 | -398 |
46年 | -5,983 | -3,849 | -2,096 | -654 |
47年 | -6,463 | -4,243 | -2,419 | -920 |
48年 | -6,961 | -4,653 | -2,756 | -1,197 |
49年 | -7,480 | -5,079 | -3,106 | -1,485 |
50年 | -8,019 | -5,522 | -3,471 | -1,784 |

グラフを見れば一目瞭然ですが労働期間が長ければ長いほど資産寿命が長くなりますね。
労働期間 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 |
資産寿命 | 28年 | 33年 | 38年 | 43年 |
資産寿命はこのようになりますがどう感じますか?
セミリタイア後に15年以上働くのはなかなか厳しいと私は感じます。長くても10年でしょうか。もちろん好きなアルバイトを続けることは問題ありませんができるだけ働かなくても生活できる状態が理想だと思います。
FIRE(Financial Independence(経済的自立)Retire Early(早期退職))で言うところのFIの状態ですね。
このシミュレーションでは無リスク資産は使っていません。インデックス投資の取り崩しと労働収入のみで計算しています。
何故無リスク資産を使っていないかと言うとインデックス投資の取り崩しの破たんを防ぐためです。インデックス投資の出口戦略として4%取り崩しルールがありますがSRR(シークエンス・オブ・リターン・リスク)に対応するためです。
【インデックス投資の出口戦略】4%ルール取り崩しはSRRに注意
これは私が考える基本形です。セミリタイアプランに正解がないのは状況がまったく同じことがないからなんですよね。だからご自身の状況に応じてカスタマイズしていくしかありません。
それでは次にどのように運用していくかを具体的に説明します。
セミリタイア資産の運用方法
SRR(シークエンス・オブ・リターン・リスク)を簡単に言うとインデックス投資の4%ルールを成功に導くにはマイナスリターンの時は取り崩さない方が良いということです。
4%ルールの取り崩しが破たんするとセミリタイアに一気に暗雲が立ち込めます。つまりここが破たんしないように運用することがキモになります。
取り崩しタイミングは年に1回なのか毎月なのかといろいろな方法がありますがここでは3ヶ月ごとに取り崩すことにします。
セミリタイア資産には運用資産・無リスク資産・労働収入があるという前提で話をしてきました。優先的に使うのは言うまでもなく労働収入ですが運用方法は特に難しくありません。
・3ヶ月のリターンがプラスのとき、
生活費3ヶ月分=労働収入+インデックス投資取り崩し
無リスク資産を年間生活費5倍になるようにインデックス投資取り崩し
・3ヶ月のリターンがマイナスのとき、
生活費3ヶ月分=労働収入+無リスク資産の取り崩し
これの繰り返しで問題なく運用できると考えています。3ヶ月ごとでなくても1ヶ月ごとでもまったく同じなので自分に合った期間でいいと思います。ただ期間が長くなると取り崩す金額も大きくなるので私的には3ヶ月ぐらいまでがいい感じなのかなあと思います。
リターンがプラスというのは取り崩し開始時の金額または任意の金額を上回っているという状態です。リターンがプラスの時に無リスク資産を調整しますが先進国株式インデックスの利回りは30年平均8.7%ですから4%ルールは機能すると考えています。
労働期間 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 |
資産寿命 | 28年 | 33年 | 38年 | 43年 |
つまりこちらの資産寿命は問題なくクリアできるということですね。
なお今回のシミュレーションでは税金を考慮していません。税金についても個々の状況によってまったく違うのでそれぞれで対応していくしかないからです。
インデックス投資でセミリタイア(サイド・バリスタFIRE)する為の資産と労働まとめ(結果だけ知りたい方はこちらをご覧ください)
インデックス投資でセミリタイア(サイド・バリスタFIRE)する為には、
運用資産:年間支出の15倍・年4%運用
無リスク資産:年間支出の5倍
労働収入:年間支出の40%
以上です。
コメント
具体例を用いたご説明、いつも参考になります。
難しいと感じた点は、程よい収入を得る働き口ですね。
求人は地域や景気に左右されるので、運や縁による部分が
少なからずあるように思いますので…。
まぁ「果報は寝て待て」で焦らず探すことにします。
RMCRさん
どれぐらいの収入を得るかにもよりますが5~7万程度ならいつでもあるという感覚ですね。
いろいろと条件を付けると厳しくなるのでその辺は調整は必要かなと思います。
具体的でためになる内容ありがとうございます。
内容の件で1つご質問です。
必要額の微調整のところで、年間生活費の20%(15%+5%)には満たずとも、労働収入割合が80%とか100%になれば、下げても(例えば15%等)許容範囲として調整できるという認識で宜しいでしょうか?
ゆたか坊さん
はい、その通りです。
労働収入割合の変化についてはこちらの記事を書いていますので良かったらご覧ください。
https://crosspearl.com/roudou-wariai-shisan
資産運用以外の継続的な収入とその割合によって必要な運用額は変化するということですね。
運用額は多ければ多いほど良いですが、その資金を貯める時間と残り時間のバランスを自分でどう判断するかということになります。
クロスパールさん(^-^)返信ありがとうございます。
凄く参考になります❗
私も45歳でのサイドFIREに向けてあと一年半、準備を加速させて行く励みになります!
ゆたか坊さん
参考になって良かったです。
ぜひサイドFIREできるようにがんばってください(^^)/